『G.T.R.』は1993年12月末にリリースされました。コンセプトはは『モータスポーツに特化したイージーリスニング。出来ればフュージョンで。』って感じだったと思います。個人的にもマイカーを初めて所有した頃で、車の中で聴く音楽にも色々と求めるものが沸々と沸いていたのを憶えています。
ここで、余談ですが制作進行上のお話を。
この頃のトルバドールレコードでは、基本的にはCDを一般流通にのせていなかったので、販売は一度に大多数のお客さんが集まる大型イベント等に限られていました。利用していたイベントはコミックマーケットと言う大手の同人誌即売会なんですが、出展ジャンルは多岐にわたっており当時はすでに、”コンピューター”と言うカテゴリが存在しており、オリジナルソフトやCGの販売ってものがFDDベースで行われていたのが一般的でした。音楽の場合、その制作背景を鑑みると非常にこのカテゴリに依存する部分が多かったのも事実で、結果、コミケット準備会役員様の計らいでこちらでの出展許可がおりてました。
このイベントは、夏(8月)と冬(12月)の年二回行われるワケなんですが、その日程の偏り方から、冬発売のCDに関しては非常にタイトなスケジュール進行が要求されてしまうんです。プレスにかかる時間も今より長かったので、制作期間は実質二ヶ月程度しか無かったですね。今でこそ、技術革新でかなり余裕が作れるようになりましたけど、当時は本当に時間が足り無くって大変だったのを憶えています。
で、この『GTR』。前夏に2枚同時リリースを果たした後だけに体力的にも、また、前作を買ってくれた固定ファンの皆様へのプレッシャーも多く、かなり慎重に作りたかった物の、結局時間の問題であんまり頭を使う暇が無かったのも事実です。ですが、結果的に振り返らない(振り返れないってのが本音)で作ったおかげで、いい感じに肩の力が抜けていたんだと思います。言い意味でもの凄いライトで押しつけがましくない、ドライブに最適なサウンド集に仕上がっていると思います。作家陣はジャケットも含め、すでにファンの間にはお馴染みになったメンバーに加え、若手のホープ、”イシカバン”こと石川氏が初参戦。個人的に、佐野氏においては二度と聴けることが無さそうな非常にライトなサウンドが貴重かと。
このアルバムに関しては、今なお、幻の続編『GTR2』を望む声が多いのも嬉しい事実でして、細江さんと暇さえあれば、「また作りたいねぇ」なんて人事のように会話してます。その願いが叶う日がいつ来るかは解りませんが、とりあえずそんな『GTR』リスペクターな方々に自信をもってオススメする一枚があります。それは旧スクゥェアのPS2ドライブゲーム『
DRIVING EMOTION Type-S』です。サウンドはARIKAメンバー三人(細江、佐宗、相原)で担当したのですが、まさに『GTR2』な仕上がりの一枚となっています。ちなみに
サントラも出てます。ゲームは正直なところ鳴かず飛ばずでした…が、音楽だけ切り離しても遜色のない一枚に仕上がっていますので、興味のある方は探してみるのも一興かと。マジオススメ!。
☆自分の収録曲について☆
Index_04 Navigation Seat
小谷野氏にコード進行を誉められて、かなり有頂天だった作品。まぁ、今想うとかなり冒険してる部分がありますね>コード。でも、メロディーに関してコメントさせてもらうと、自分らしい素直なメロディーに、今でも多用するストリングやキラキラ系のカウンターが綺麗にハマった作品だと思います。タイトルはそのまんま助手席を示しているわけなんですが、ドライブ感覚的には往年のカーグラTV的なゆったりとした走り、そして静かに流れる風景を狙っています。クルマってのは助手席に載せる人間如何によっては、凶暴な生き物にもなりかねないと思ってますので(笑)、ドライブに大切なのは運転手じゃないですよね、やっぱり。そんな助手席に載せてみたい理想の人間、って言うか音楽、って事です。この音楽を聴きながらドライブ、いつも心にブレーキを。だってリッジは正直ヤバイっしょ(笑)。
Index_10 Wendy Touch
スゴイ大好き。いまだに聞き返してしまいたくなるうっとりする名曲。予算の都合上って言うか、この当時、自分は生楽器をレコーディングした経験は全く無かったのですよ(!)。サウンド的にイメージしたのは有名フュージョンバンド、っつーかカシオペア。その4人に成りきってどこまで打ち込みで再現出来るかってのが、自分的な勝負所でした。まぁ、ギターに関しては所詮打ち込みなワケでして、そう言う物と思って聴いて頂くしかないんですが、かなり苦労して”らしく”しました。使っている音色は耳タコのローランドU系カードなんですが、エフェクター(マルチ)とコンプを通してかなり加工してます。キーボードとベースに関してはそんなに苦労してませんが、ベースとドラムのキメ方には作曲的にかなり工夫してますね。展開的には王道的な形ですが、前出曲との差別化もありましたので、こちらは打って変わってスピード感重視のサウンドに仕立ててます。タイトルはピーターパンに出てくるウェンディから拝借してます。ピーターパンになった気持ちでウェンディを夜の闇へと誘い出す。そこには今だかつて体験したことの無いような世界が待っているワケですよ。ネオンや街灯の星が煌めく湾岸線をロマンティックにぶっ飛ばして下さい。